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名鐔師「信家」の秘密 その6
『鐔聖金家』の論説分析2
前回『鐔聖金家』における基本論説である、金家二代目説を筆者なりに検討してみた。米野先生の両者の銘の分別法は筆者自身もある程度は納得し、ある程度はしかりかと思うのであるが、やはり差異がかなり微細であり、あまりに酷似した銘刻であるという点にはやはり疑問に感じられた事である。二代目は何故に銘をここまで似せる必要があるのだろう。名取をした以上、作風を踏襲するのは当然ではあるが、別のパーソナリティである以上、銘刻をそこまで模倣する必要があるのだろうか。職人間にはかくした慣習が当時にあったのだろうか。そういった慣例の有無や程度の問題は、他の鐔師の例などの監査を通じて筆者としてもこれからこそ探求してゆきたいと思っている。但しこの点は何方が真であるにしろ上森論説とは余り関わりのない部分である。
同書の論説をいま少し検討して行こう。

A鉄人金家と名人鐔師金家の作品を比べるとその芸術品としてのレベルには雲泥の差異があり、よって両者には技術的繋がりがあったとは考え難いとする。
●検討
上森先生の論説の最大の弱点と問題点は「鉄人鐔」をどう扱うかと云う部分であろうかと思う。世に「金家鉄人作」「鉄人斎作」というような鐔が確かに存在し、これがもし青木鉄人金家の鐔そのものであるとするならば確かに同鐔師は名人鐔師大金家では絶対にあり得ない事になる。
鉄人鐔の問題はより多くの実物をみて検討しなければならないとは思うが、取り敢えず現時点で考察すると「金家鉄人鐔」は後代金家鐔の一端ではないと考えられる。しかしだとするとこれらの鐔の年期は年代をかなり江戸初期から下る事となる。
この点において米野先生は元和八年(1622)の年期の入る「金家」鐔を採り上げ、そしてまた別の「金家鉄人作」鐔を採り上げ、両者の銘が一致することを述べられており、よってこの年期の入る「元和金家鐔」の作者が鉄人金家とする。年代的に鑑みるとこの鐔の作者こそ青木鉄人金家その人という事となるだろう。もしそうだとするならば確かに上森先生の説は殆ど成り立ち難いわけである。
しかしながら良く両鐔のそれぞれの銘刻を見てみると米野先生は同一銘となしているが、素人の筆者が見てもかなり違うように感じられるのである。別人とすると「鉄人」の銘刻とは関係がないわけであるから「元和金家鐔」の作者は青木鉄人金家とは断定できない事となる。管理人の判定ではこの「元和金家鐔」は別人金家、もくは「時代偽」ではないかと鑑定できるのであり、いずれにしろ青木鉄人金家とは関係がないわけである。
それは別としてこれら別人金家や後代鉄人金家などの技量は一概には判定できないがそれなりのレベルではないか思う。名人大金家は確かに素晴らしいセンスの持ち主で名人中の名人と云えるが、しかし名人の技といっても全て好みがあり、また名人にも筆の誤りがあり、駄作もあり、「是が名鐔?」と疑問符を付けざるを得ないような他愛のない鐔もあることはあるのである。そのような立場であまり名前に囚われずに客観的に判定するならば、後代金家とそれほど極端な伎倆差があると捉える事は出来にくいとも感じられるのである。芸術にはそれぞれ好みというものがあるのだから。後代鐔師の作品はそれほど駄作でも下作ばかりでもないと思う。
時代偽、もしくは後代偽作鐔に関しては、剣豪武蔵の二刀剣法を継承する兵法名人、青木鉄人の名物鐔というものが当時の世にある程度のレベルで認識されていたからこそ偽作職人が力を入れて「鉄人金家作」「鉄人斎作」の銘刻入り鐔を大いに製作したのではないかと思われるのである。本人金家は兵法と鐔造りの仕事とを分別し、「鉄人」の号を鐔に刻むことは決してなかったと見られるのだけれども……。
[続]

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